心の瞳
とくにひとりの夜は怖い。
勇気を出して、心を燃やさないと。
あたたかい、心の瞳で見ていてくれる。それは、
ストーブの中の、明るく温かく静かな火に似ている、
これ以上は近づけないけれども、傍で心を温めてくれる。
一番難しいのは、火を灯すとき。
勢いのある明るい火が好ましい。
思いっきり空気を吸い込んで、
勇気を出して、
心を燃やして。
次に難しいのは、火を灯し続けること。
いや、これはこれで、一番と同じくらい難しい。
赤い火は、心の目印になる。
とくにひとりの夜は怖い、
心の瞳で見ていてくれるよう、
わたしの傍で温めてくれるよう。
2021-01|よしもりたけはる|心の瞳|表紙|挿絵|zine